バリスカン造山帯の深成岩類 Plutonic rocks in Variscan orogeny (n=10)
図:バリスカン造山帯の分帯(Arenas et al., 2016) |
【解説】
造山運動(orogeny)とは、海洋プレートの沈み込みや大陸と大陸の衝突によって起こる山脈を形成させる現象のことで、造山運動によってできた地質体を造山帯という。造山帯には、海底堆積物が変成作用を受けた変成岩、マグマが生成し固結した深成岩や火山岩ができている。古生代以降には3つの造山運動があり、古い順に、カレドニア造山運動、バリスカン(ヘルシニア)造山運動、アルプス-ヒマラヤ造山運動と呼ばれる。
古生代石炭紀から二畳紀にかけて(およそ3億8000万〜2億8000万年前)、ローラシア大陸とゴンドワナ大陸が衝突して超大陸パンゲアが形成されたプロセスが、バリスカン造山運動である。バリスカン造山運動と関連して形成された花崗岩体として、ボヘミア岩体(Bohemian Massif), ライン岩体(Rhenish Massif), イベリア岩体(Iberian massif)などがある(Arenas et al., 2016)。石材としては、スペイン・ガリシア州やイタリア・サルデーニャ島産の花崗岩類が、日本でもよく見られる。同時期の花崗岩類は、イギリス・コーンウォール地方にも分布しており(Cornubian Batholith)、バリスカン造山運動後に生じた引っ張り応力場に貫入したS-type花崗岩と考えられている(Simon et al., 2016)。